May 10 あめ
僕が学生の頃、その大きさに驚いた絵画があった。
東京大学安田講堂地下の学生食堂に架けられていた。
上野公園の中の私が通う大学より
メニューが豊富で安くボリュームが魅力な
安田講堂地下の学生食堂にはよく行った。
授業をサボって。
絵画は食堂の湿気でキャンバスが緩んでいたが、
私がそれまで観た絵画で一番デカかった。
幾人かのシルエットを
ステンシル技法とグラデーションで描かれた500号?4枚つなぎの絵画だった。
シルエットは、アメリカの人権運動のデモの写真から選ばれた人たちで
社会との関わりを強く持つテーマだった。
社会性が強いが、装飾性もある、スマート、カッコいい。
現代美術の傑作だと今でも思っている。
僕には、入口みたいな大事な絵画だった。